ジェンダー・ギャップ指数
ジェンダー・ギャップ指数とは、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が2006年から毎年発表している、各国の男女格差を示す指数(Gender Gap Index︰GGI)をいい、男女平等格差指数とも言われています。WEFは世界のリーダーが世界情勢の改善に取り組む国際機関で、1971年にスイスで非営利財団として設立されました。
ジェンダー・ギャップ指数は次の4つの分野14項目で国際機関が発表するデータを基に、男女格差の度合いを指数化し、各国の順位を決めています。
- 経済活動の参加と機会(給与、雇用数、管理職や専門職での雇用における男女格差)
- 教育(初等教育や高等・専門教育への就学における男女格差)
- 健康と寿命(出生時の性別比、平均寿命の男女差)
- 政治への関与(議会や閣僚など意思決定機関への参画、過去50年間の国家元首の在任年数における男女差)
日本のジェンダー・ギャップ指数は先進国・東アジア地域で最低レベル
2024年のレポートによると、日本は146か国中118位でした。
昨年よりも7ランクほど順位を上げましたが、先進国では最下位。かつ、東アジア・環太平洋地域においても最低レベルとなりました。特に、「経済活動の参加と機会」と「政治への関与」におけるスコアの低さが、全体の順位に影響しています。
「経済活動」は男女の賃金格差、「政治」は女性議員の少なさが課題
日本の順位 | |
経済活動の参加と機会 | 120位 |
教育 | 72位 |
健康と寿命 | 58位 |
政治への関与 | 113位 |
【2024年レポート】各分野における日本の順位
「経済活動の参加と機会」における日本の順位は120位。問題点として、日本における管理職や経営層への女性登用の低さと並び、男女間の賃金格差や雇用形態の違いです。レポートによると、パートタイムで働く女性の数は男性の約2倍であり、日本女性の平均収入は男性の収入より低い点が指摘されています。
「政治への関与」における順位は113位で、昨年よりやや改善しました。これは女性閣僚数が増えたことが原因ですが、以前として、国会議員に占める女性の割合や閣僚に占める女性の割合の伸び悩み、過去の国家元首に女性がいない点が大きくスコアを落としています。
日本のジェンダーギャップ指数の推移
ジェンダーギャップ指数の公表がはじまった2006年時点で、日本は80位でしたが、そこから毎年日本のジェンダーギャップ指数は低下しています。
低下している原因は、日本以上に他国がジェンダー平等に舵を切り、施策を展開しているためです。「(ジェンダー平等に向けて)何もしない」「自ら変化しない」ことが順位に反映されているとも言えます。
年度 | 日本の順位 |
---|---|
2024年 | 118位 |
2023年 | 125位 |
2022年 | 116位 |
2021年 | 120位 |
2020年 | 121位 |
2018年 | 110位 |
2017年 | 114位 |
2016年 | 111位 |
2015年 | 101位 |
2014年 | 104位 |
2013年 | 105位 |
2012年 | 101位 |
2011年 | 98位 |
2010年 | 94位 |
2009年 | 101位 |
2008年 | 98位 |
2007年 | 91位 |
2006年 | 80位 |
(備考)調査年と公表年に差異がある年度がある為、レポートの公表年は非連続。
男女格差を表すその他の指標
ジェンダー不平等指数(Gender Inequality Index:GII)
男女格差を表すその他の指標としては、国連開発計画が発表するジェンダー不平等指数(Gender Inequality Index:GII)があります。この指標は「保健分野」「エンパワーメント」「労働市場」の3分野で各国の順位を決定するもので、2024年のジェンダー不平等指数によると、日本は193か国中22位となっています(2024年3月13日発表)。
ジェンダーギャップ指数(GGI)とジェンダー不平等指数(GII)の違い
ジェンダーギャップ指数(GGI) | ジェンダー不平等指数(GII) | |
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調査(発表)機関 | 世界経済フォーラム | 国連開発計画 |
調査目的 | 男性に対する女性の割合の差異を計測する。ジェンダーの平等に従って国をランク付けする。4分野からなる。 | 国家の人間開発の達成が男女の不平等によってどの程度妨げられているかを明らかにするための指標。女性のエンパワーメントが特徴で、3分野5指標からなる。 |
調査分野 | 【経済活動への参加と機会】 ・労働力率 ・同一労働における賃金差 ・推定所得 ・管理職、役員比率 ・専門職および技術職における男女差(日本にはデータなし) 【教育到達度】 ・識字率 ・初等教育への就学率 ・中等教育への入学 ・高等教育への入学 【健康】 ・出生時の男女比 ・健康寿命 【政治への関与】 ・女性の国会議員 ・女性の閣僚 ・女性/男性国家元首の在任年数 | 【リプロダクティブ・ヘルス】 ・妊産婦死亡率 ・思春期出生率 【エンパワメント】 ・国会議員女性割合 ・中等教育以上の教育を受けた人の割合 【労働市場】 ・労働参加率(男女別) |
開発レベルとの関連付け | なし | あり |
ジェンダー不平等指数は、国の発展度合い(開発レベル)が加味された指標(妊産婦死亡率や中等教育の進学率など)が含まれているため、保健衛生や初等教育が整備された先進国が高めに出やすい特徴があります。よって、ジェンダー不平等指数においては、ジェンダー・ギャップ指数がよりも日本は高い順位となっています。
参考文献、HP
■内閣府男女共同参画局「男女共同参画に関する国際的な指数」(確認日:2024年7月16日)
■世界経済フォーラム『Global Gender Gap Report 2021』
■内閣府男女共同参画局総務課『世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2021」を公表』
■治部れんげ『「男女格差後進国」の衝撃』小学館新書、2020年