組織開発
組織開発(Organization Development=OD)とは、人や関係性といったソフトな面に働きかけ、組織を変革していく行動科学に基づいた計画的な働きかけをいいます。
組織開発は、1940年代後半、「Tグループ」と「サーベイ・フィードバック」という2つの流れから始まりました。「Tグループ」はクルト・レヴィンらによる人間関係トレーニング方法です。Tグループは1950年代後半~1960年代前半に、米国で積極的に行われ、そこでの実践が組織開発の基礎となりました。「サーベイ・フィードバック」はレンシス・リッカートによって開発されました。「サーベイ・フィードバック」とは従業員アンケートの結果に基づいて、上司と従業員で話し合いを行うことです。これは、組織のプロセスについて調査を行い、その分析結果をフィードバックとして、組織で起こっていることを話し合い、解決策を合意するという組織開発の進め方の基礎に発展しました。
組織開発の代表的な手法として、Tグループを発展させた感受性訓練、リーダーシップ行動論であるマネジリアル・グリッド、組織と人の成長を促進する手法であるファシリテーションなどがあります。
ODを実践する者はチェンジ・エージェント(変革推進体)とも呼ばれます。チェンジ・エージェントは「人々や組織にどのような価値をもたらすことができるか」という視点で、改革する側(経営者・リーダー)と改革される側(従業員)を調整する役割が期待されます。
組織開発の目的は、組織の有効性と健全さを高めることです。有効性とは組織の目的達成度に関わり、健全性は組織内の人々の満足度に関わります。
組織開発では
- 人間尊重の価値観(最適な場が与えられれば、人は自律的かつ主体的に能力を発揮する)
- 民主的な価値観(できるだけ多くの人が関与したほうが、決定の質があがり、互いの関係性も向上する)
- クライアント(当事者)中心の価値観(当事者意識の高まりと主体的に変革に取り組むことを重視する)
- 社会的・エコロジカル的システム志向性の価値観(組織開発の結果が社会や環境に悪影響を生じる事態を避ける)
を重視します。
ダイバーシティを活かすことは、変化に強い組織作りに欠かせない考え方であり、組織開発の重要な要素の一つです。
参考文献、HP
■OD Network Japan(ODNJ)
■OD Association in Japan(ODAJ)
■中村和彦「組織開発の特長とその必要性」