クォータ制
クォータ制とは人種、民族、宗教、性別などを基準として、議員や閣僚などの一定数を、社会的・構造的に現在不利益を受けている者に割り当てる制度をいい、ポジティブ・アクション(積極的改善措置)の一手法として実施されるものです。
クォータ制発祥の地、ノルウェーでは、1978年に制定された男女平等法において、公的機関における男女割合を一定比率で割り当てるよう明記されました。それ以降、デンマークやスェーデンなど北欧諸国で広まり、現在では、100カ国以上の国と地域で法制化・導入されています。また、ノルウェーや一部の国では、企業幹部の4割を女性に割り当てたり、育休の一定期間を父親に割り当てるパパ・クォータ制度を導入する等、経済や社会生活の分野にも広がっています。
一方、日本の議会や法律において、クォータ制に関して具体的に定めたものはまだありません。1999年施行の男女共同参画社会基本法第25条(議員)の項目では「男女共同参画会議での男女のいずれか一方の議員の数を、議員の総数の十分の四未満であってはならない」と規定していますが、法的拘束力は弱く、努力を求めるにとどまっています。2015年12月に閣議決定された「第4次男女共同参画基本計画」では、特に政策・方針決定過程への女性の参画の拡大として、2020年までに政治家・公務員・管理職・役員・大学教授等指導的立場にある者の女性比率を向上させるために、数値目標を掲げその実現を求めています。
なお、クォータ制に否定的な立場からは、他の属性に対しての不平等感や「平等原理の侵害」、「逆差別」などの指摘もあります。世界の女性リーダーが集い毎年開催されるグローバルサミットオヴウィメン(GSW)でも、近年は大きなテーマとなっており、賛否両論の議論が続いています。
参考文献、HP
■内閣府男女共同参画局「男女共同参画社会基本法」
■矢野恵美「ノルウェーの取組の特徴と日本への示唆~女性の参画から男女共同参画へ~」