アンコンシャス・バイアス(無意識バイアス)
アンコンシャス・バイアス(無意識バイアス、無意識の偏見)とは、自分自身が気づいていないものの見方や捉え方のゆがみ・偏りをいいます。
考える以前に瞬時にかつ無意識に起こる知的連想プロセスの一つであり「高速思考」ともいえます。大量の情報からすばやくパターンを見つけだしギャップを埋め、仮説をもとに素早く行動を起こすことをサポートするうえで、重要な役割を持っています。
誰もが何らかのアンコンシャス・バイアスをもっており、それ自体が直ちに関係性に悪影響を与えるわけではありません。問題は、そのような無意識の関連づけが相手に影響を与えネガティブに作用することにあります。
アンコンシャス・バイアスは何気ない日々の行動や言動となって現れます。女性や若い人に対して見下したような態度や軽く扱うような言葉を投げかけたり、マイノリティを無視するような心無い発言をしたり、相手の発言に対し、眉をひそめる、腕組みをする。パソコンに目を向けながら話を聞く多態度をとる。このような小さなしぐさ、言動をマイクロメッセージ(小さなメッセージ)やマイクロインイクイティ(小さな不公平)といいます。それ自体が直ちに大きな問題とはならなくても、小さなとげとなって相手に刺さり、心を傷つけたり違和感や疎外感を感じさせるのです。小さなことだからと放置しておくと、職場の人間関係を悪化させたりパフォーマンスにも影響を与えます。
アンコンシャス・バイアス(無意識バイアス)が及ぼす影響
個人への影響
日常の些細な言動、行動となって表れ、相手の意識に作用することで職場の人間関係やパフォーマンスを悪化させる
組織への影響
採用、評価、昇進、育成などのタレントマネジメントや、リーダーの意思決定や行動選択に影響を与え、ビジネス上の問題を引き起こす恐れがある
バイアスの典型的パターン

多様性の受容とアンコンシャス・バイアス
多様な価値観やライフスタイル、属性の人が働く職場では、アンコンシャス・バイアスは特に重要なテーマとなります。少数派(マイノリティ)の社員は、自ら声を出しにくく、また大切に扱われていないというメッセージを受け取ることが多くあります。学歴や年齢、性別、役職など力を持つ側が、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)にアンテナを立て、意識的に多様な人に向き合うことで、尊重され受容されている、と感じることができるのです。。組織内でアンコンシャス・バイアスに意識を向けることは、職場の心理的安全性 を高め、組織と個人のパフォーマンスの向上に役立ちます。
アンコンシャス・バイアストレーニングをしっかり行うと、働く人は安心して力を発揮する雰囲気が醸成され、個人と組織のパフォーマンスが向上します。
トピック:アンコンシャス・バイアス度をセルフチェックしてみよう
ハーバード大学とワシントン大学の研究者が共同開発したアンコンシャス・バイアステスト(Implicit Association Test(IAT))は、世界で1600万人以上の人が受けています。
日本語版もありますので、自分の無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)度はどの程度がぜひトライしてみてください。
グーグルが世界2万人以上の社員にアンコンシャス・バイアストレーニングを実施している理由
グーグルが検索エンジンとして使用しているロゴ(グーグル・ドゥードゥル(その日に合わせてデザインを変えた検索エンジンGoogleのロゴ)をご存知の方は多いでしょう。
1998年の創業以来、日々更新されてきたその装飾デザインには、最初の7年間に女性は1人も登場していません。2010〜13年で登場した人物のうち62%は白人男性。女性は約17%、白人以外の男性が18%、白人以外の女性は4%にすぎませんでした。民間の研究所から指摘を受けたグーグルは、社員が偏見を理解し多様な視点を持ち行動と企業文化を変えるために、2013年5月から「アンコンシャス・バイアス」と名づけた教育活動を開始しました。現在では全世界で2万人以上の社員がそのトレーニングを受けています。
特記事項
クオリアでは、主に企業や組織におけるDEI推進を支援するプラクティショナー(実践家)として、アンコンシャス・バイアスを「自分自身は気づいていない、ものの見方やとらえ方の歪みや偏り」と定義し、提供するトレーニングの文脈によっては「無意識の偏見」と解説する場合もあります。
アンコンシャス・バイアスの定義について、海外企業のトレーニングやDEIコンサルタントとの情報交換の経験に基づきプログラム開発をした経緯から、心理学上の厳密的な解釈とは異なり、インプリシットバイアス(暗黙の偏見)を含む、より包括的な概念として「アンコンシャス・バイアス」という言葉を使用しています。
トレーニングでは、「アンコンシャス・バイアス」という言葉を通じて、一人ひとりが自身の思い込みや先入観、固定観念に気づく過程を重視しています。
固定観念や先入観、さらにはそこから生まれる差別意識や偏見、憎悪などのネガティブな感情に対処することで、相手を尊重し受け入れ、公平な関わり方を学ぶことを意図しています。また、個人だけでなく組織の中に潜む問題にも目を向け、多様性を活かす組織づくりを支援しています。
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