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マイクロアグレッションとは?


マイクロアグレッション(自覚なき差別)とは?

マイクロアグレッションとは、無意識の偏見や思い込み(アンコンシャス・バイアス)が言葉や態度に現れ、否定的なメッセージとなって伝わり意図せず誰かを傷つけてしまうことを言います。「micro(マイクロ)」は「小さい」、「aggression(アグレッション)」は「他者への攻撃」を意味するように、多くは日常の中の些細な言動であり「自覚なき差別」とも言われています。

マイクロアグレッションは「差別」の一種ですが、発言した本人には悪意があるわけではなく否定的な言動をしているという意識はありません。そのため、その言動を注意をしても「そんなつもりはなかった」「それぐらいのこと」と理解されなかったり、反発を招くことも少なくありません。

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日常で起こりやすいマイクロアグレッション

一見するだけでは差別だとわかりづらく、行為を行った本人にも相手を傷つけているという自覚がないことが多いマイクロアグレッションですが、具体的にはどのような言動があるでしょうか。

マイクロアグレッションの言動の例

新入社員にしては良いこと言うね
障がい者なのに頑張っているね
背が高いね、バスケットしてたの?
三人称として無条件に「彼」を使う
夜道で外国人を見たら避けて通る

どうでしょうか?気になる言動はありましたか?

一見、褒めているつもりだったり、何気なく聞き流してしまうような言葉です。しかし、その根底を探ってみると、これらの言葉には相手を軽く扱ったりきめつけるような隠されたメッセージが潜んでいることがあります。


隠されたメッセージ


マイクロアグレッションの事例とその対処法

「新入社員にしては」「障がい者なのに」の言葉の裏には、「本来新入社員は○〇だ」とか「障がい者は○○だ」という決めつけや思い込みはないでしょうか。このような言動を気にならない人がいる一方で、決めつけられて不快、軽く扱われているようなメッセージとして受け取る人たちもいます。

マイクロアグレッションは、特定の属性の人に対して、固定観念や先入観、勝手な解釈をもち、無意識に発した言葉や態度が、否定的なメッセージとなり、相手を傷つけたりストレスを与えることです。
「それくらいのこと」ではなく、このような言動が誰かを傷つけることがある、ということへのの想像力を持つ必要があります。

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マイクロアグレッションの事例

マイクロアグレッションには様々なものがありますが、ここでは、性別や年齢に関する事例をいくつかご紹介します。

ケース① ジェンダー編

例えば、面接や職場で以下のような発言をしていませんか?


マイクロアグレッションの事例とその対処法
マイクロアグレッションの事例とその対処法

何気ない会話の中で「男/女らしさ」という勝手なジェンダー観によって、無意識に誰かを傷つけている可能性があります。
「女性”でも頑張れば”正当に評価される」といった言葉を聞けば、男性以上に女性は頑張らないといけない、男性と女性では評価の基準にハンデがある、というようなニュアンスを感じる人もいますし、プレッシャーに感じる人もいます。
こういった発言には、無意識に性別による差別をしている背景があり、自覚なく相手へ小さな攻撃をしてしまっています。

ケース② 年齢編

年齢に関するマイクロアグレッションも、日常のあらゆる場面で見受けられるでしょう。
以下のような発言をしたり、聞いたことはありませんか?


マイクロアグレッションの事例とその対処法

日本は特に年齢による差別(エイジズム)が強くあると言われています。若いというだけで未熟と思われたり、軽く扱われたり、若い女性に対して愛称や「〜〜ちゃん」と呼ぶことは、相手を対等に見ていないメッセージになることもあります。

また逆に、高齢者はITやDXが苦手、というように、高齢者をひとくくりにして馬鹿にするようなケースもみられます。年齢によって態度を大きく変えたり、雑な扱いをしてしまことはありませんか?

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マイクロアグレッションによる悪影響

マイクロアグレッションは、その発言を受ける側はもちろん、発言をした本人にも影響を与えます。また、個人だけではなく、組織の問題にもつながることがあるため、影響を及ぼす範囲やその影響の大きさを理解しておくことが重要です。

個人への影響

不安・葛藤・ストレス・心身の不調
精神的なダメージ
自己否定・自己嫌悪
常に適応能力を求められる

職場での影響


相互不信
コミュニケーション・信頼関係の低下
生産性・パフォーマンスの低下
心理的危険性の増大

マイクロアグレッションは誰もが無意識に行ってしまうものですが、特に管理職やリーダーの言動は影響が大きいため留意が必要です。

対応を怠れば、個人のモチベーションダウンやストレスを招くだけでなく、組織全体のパフォーマンスや生産性低下など深刻な問題に発展していきます。場合によっては、ハラスメントや離職率の増加にまで発展する恐れもあります。

マイクロアグレッションへの自覚

このマイクロアグレッションは、「アンコンシャス・バイアス」の一種であり、自分だけではなかなか気づくことができません。気づけないことで「無意識・無自覚」に周囲に悪影響を及ぼしてしまいます。
自分のマイクロアグレッションに自覚がないと、直すことができないため繰り返してしまいますし、その悪影響の大きさや範囲にも気づけません。悪気がないため、相手が傷ついていることに気づかず、または指摘されたとしても謝ろうとしないでしょう。

しかし、気づけるようになると「自覚的・意識的」になり、改善していくことができます。


マイクロアグレッションの事例とその対処法

まずは「気づくことが重要」です。
無意識・無自覚な状態から、「意識・自覚的」になることができれば、自らの意思で自身の言動を振り返り、直していくことが可能になります。

「マイクロアグレッションとは何か?」を学び、理解を深めることができたら、「これってマイクロアグレッションかも?」と気づきのアンテナを立てて改善への一歩を進めることができます。

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マイクロアグレッションの対処法


まず大事なのが、「誰もが関係者になる」ことを理解し、自分ごととして考えることです。


「支持者」となるか、「支援者」となるか


マイクロアグレッションの「行為者」とそれを受ける「当事者」の周囲には、それを見聞きしている傍観者がいます。この「傍観者」が見て見ぬふりをしたり、沈黙や笑い・同調的な発言すると、行為者を支持する側に立つことになります。マイクロアグレッションを容認することは、意図していなくとも時として共犯者になってしまうのです。

行為者に注意をしたり介入することができなくとも、マイクロアグレッションを受ける当事者の側になって、共感したり肯定的なメッセージを伝えたり。時には擁護するような行為を行うことで、「支援者」となることができます。


マイクロアグレッションの事例とその対処法

私たちは「マイクロアグレッションを見聞き」したら、どのような対応をすればよいでしょうか。
また、自分が行為者とならないように、そして無自覚に行為者となった場合には、何に気をつけたらいいのでしょうか。


マイクロアグレッションを受けた「当事者」に対して


当事者に対しては、まずは寄り添い「支援者」になることが大切です。
相談に乗ったり励ましたりと「味方がここにいるよ」というメッセージを伝えることです。直接的にマイクロアグレッションを無くすことにはならなくても、その被害を減らすことになります。

当事者は、ささいな言動や言葉の裏に隠れたメッセージから来る精神的なストレスのため、その場を受け流してしまったり、他人に気づかれないまま自分だけが抱え込んでしまうことも多いです。そういった時に寄り添ってくれる味方がいるのは、当事者にとって大きな存在となります。


マイクロアグレッションを行った「行為者」に対して


マイクロアグレッションの言動を行う人を行為者といいます。自分のマイクロアグレッションについてほとんどの人は無自覚です。そのため、その言動を修正してもらう場合、丁寧に関わっていくことが必要です。
まずは、以下の4つを押さえておきましょう。


  • ポイント①:行為者との関係性を考えて対応する
  • ポイント②:行為者を一方的に責めない
  • ポイント③:発言の意図と影響にフォーカスする
  • ポイント④:伝え方を工夫してみる

相手(行為者)との関係性によって直接的なアプローチをすることもあれば、間接的に、または関与しないという選択肢もあります。また、ほとんどの場合、行為者は自覚がなく悪気があって言っているわけではありません。いきなり相手を責めたり否定的な言葉を使うと逆効果になりますので、行為者の「発言」にはどんな意図が背景にあるのかなど、マイクロアグレッションを見聞きした側も行為者も、客観的に捉えて対処することが大切です。


マイクロアグレッションを起こさないために


自分自身が「行為者」や「支持者」にならないようにするために最も重要なポイントは、誰であろうと他者を尊重し、相手に対する想像力と共感力を持って接すること、そして相手の話に心から耳を傾けることです。


あなたは、相手を尊重していますか?

あなたは、相手の立場や状況を想像していますか?

あなたは、相手の話に耳を傾け共感していますか?

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