メンター制度導入プログラム
人を育てる『人』を育てる仕組み
メンタリングとスポンサーシップで人材育成の好循環をつくる
DEI推進・女性活躍推進に力を入れている企業の多くは、若手や女性、外国人社員などの早期育成を目的に、メンター制度を導入しています。近年では、メンターのリーダーシップ開発の一環として導入する企業やリバースメンター(下位の社員が上位社員のメンタリングを行うこと)、クロスメンタリング(異業種間でメンタリングを相互支援するプログラム)などを行う企業も増えています。また、メンタリングに加えて、より組織でのキャリアに直接的な影響がでやすいスポンサーシップの導入を進める事例も増えてきました。
メンタリング/スポンサーシップをはじめとする、メンター制度は、多様な人材の能力発揮や活躍する場を増やすために不可欠なプログラムです。
メンタリングとスポンサーシップの特徴
メンタリングとは
メンタリングとは、メンター(多くの場合、経験豊かな成熟した年長者)がメンティ(メンターのアドバイスを受ける人)と基本的に1対1で、継続的(大体1年)かつ定期的(1ヶ月に1回程度)面談し適切な役割モデルの提示と信頼関係の構築を通じてメンティの成長を支援することをいいます。主に、メンティのキャリア形成を支援する機能と自信や意欲を高め自律的なマインドセットを整える社会・心理的機能があります。
メンタリングは、通常メンティとなる側が自発的にメンターを見つけ依頼して行うものですが、マイノリティのキャリア支援として非常に効果が高いため、制度や仕組みとして導入する企業が増えています。
スポンサーシップとは
スポンサーシップ制度においても、スポンサー(組織に対して影響力のある役職者)とスポンシー(アドバイス・支援を受ける側)と基本的に1対1で、継続的・定期的な面談を重ね、スポンシーの成長を支援します。
メンターとスポンサーの大きな違いは「キャリアに対する影響力」です。スポンサーは直接的にスポンシーの昇進を支援し、上の役職に引き上げる実行力を持ちます。他にも、スポンサーは、コネクションづくりを支援する、困難でも評価につながる仕事をアサインする(機会を与える)、ネガティブな評判から守るなど、より具体的な支援をすることで、キャリアに飛躍的な影響力を持ちます。
女性管理職が登用されるための壁、特に業務経験とコネクションを乗り越えるために、これらスポンサーの実行力は効果的です。
2022年に実施された女性部長を対象にした調査によると、管理職登用時の有効な働きかけとして、「上層部とのコネクションをつくってもらった」ことが実施率は低いが有効性が高いアクションとしてあげられています。スポンサーシップはスポンシー(女性社員)が上層部とのコネクションを構築させます。
これらの効果を期待し、女性管理職登用に向け、いち早く効果を実感したい企業において、スポンサーシップ制度の導入を進める企業が増えています。
スポンサーとメンターの違い
スポンサー | メンター | |
---|---|---|
役職 | 自組織で影響力を持つ立場でなければならない | 組織、役職にとらわれない |
関わり | 目標達成や高い成果を出すことを促進する組織内での影響力や存在感を高める | ロールモデルを提示する長期的で自律的なキャリア開発を促進する |
支援内容 | 機会や「場」を提供し、挑戦を支援する(修羅場体験・一皮むける体験)悪い評判・悪影響を及ぼす人から保護する上級幹部とのコネクションを持たせるリスクマネジメント、危機管理の考え方を伝える | 業務上、もしくは個人的な相談にのり、アドバイスやサポートをするメンティーが自らの強みに気づき、自己肯定感を高めるように支援する |
メンタリング/スポンサーシップ制度プログラムの機能
OJTとメンタリングの違い
OJT | メンタリング | |
---|---|---|
目的 | 業務の成果を向上させる | 自立と長期的なキャリア開発を支援する |
内容 | 技術やスキル、ノウハウの指導、トレーニング | 指導、トレーニングに加え、定期的な面談による相談、助言など |
関係 | 同じ組織内の上司と部下、先輩と後輩など | 組織、役職にとらわれない |
潜在的な力を引き出し、成長を促進するメンタリング・スポンサーシップ 3つの効果
メンタリング・スポンサーシップ制度には、大きく3つの効果があります。
1.将来のリーダー候補者の早期育成・能力発揮
現在最も盛んに行われているのは、ターゲットとなる人材を対象に将来のリーダー候補として成長を促すためのメンタリングです。メンターとの定期的・継続的な面談を通して、キャリア目標の達成やワークライフバランスの実現、ネットワークの拡大などを行います。また、組織の方針や目標、慣行や職場風土など、普段気づきにくい職場の暗黙のルールなどを学ぶ機会にもなります。
メンターからの支援は、心理的な安心感を高め、キャリア目標の明確化や専門性の拡大への意欲にもつながります。上司とは異なる他の職場の管理職との関係は、視野を広げるとともに、仕事に対するモチベーションを高めることにもなり、離職率の低減や管理職志向の高まりにもつながります。
2.メンターとなる管理職のリーダーシップ開発
近年、メンタリングの新たな機能として注目されているのはメンター側のリーダーシップ開発の効果です。直属の部下とは異なるメンティへの支援を行うことは新たな学習の機会となります。また、マネジメントスキルやヒューマンスキルの強化につながり、メンター自身のモチベーション向上にもつながります。
3.イノベーションが生まれる職場環境の醸成
メンタリングは長期的にみれば職場の信頼関係を育みます。メンターの共感や励まし、勇気づけはメンティの自信や自己効力感につながり、発言や行動が活発化する効果が期待されます。自分が受け入れられているという安心感、自由に発言し共感してもらえる環境があること。それはまさに、職場の心理的安全性が確保されている状態だとも言えます。
この、「職場の心理的安全性」は、職場の生産性を高め、イノベーションを生む土壌でもあります。2016年にグーグルで「組織において心理的安全性が確保されるか否かが、生産性(イノベーション)の向上のカギになる」という研究結果が発表されました。心理的安全性が確保されることにより、社員は自ら積極的に行動するようになり、それによって、生産性が高まることが立証されたのです。つまり、メンタリングは、職場の心理的安全性を高め、ひいては職場の生産性やイノベーションを生み出す土壌作りという点でも非常に効果的なプログラムなのです。
メンタリング・スポンサーシップ制度の効果
メンタリング/スポンサーシップが失敗する原因
以上のように、様々な効果が期待できるメンタリングですが、実際に導入してみたものの成果があがらず途中で断念する企業は少なくありません。
メンタリングが失敗する主な原因としては「プログラムの全体設計が不十分」「メンティのキャリア意識が未成熟(キャリア研修などがない)」「メンターの支援スキルが不十分」「とりあえずマッチングだけして放置している」などがあげられます。これらはメンタリングを導入するまでの準備不足、経験不足に起因するものです。
失敗しないメンタリングプログラムを行うには、メンタリング支援の実績が豊富な専門家を活用することが効果的です。
クオリアのメンター/スポンサー制度導入プロセス
クオリアでは、組織の状況や対象に応じたプログラム設計を得意とし、事前のメンター・メンティトレーニングやマニュアル作成、面談シートなど、きめ細やかなコンサルティングを行っています。特にスポンサーシップ導入の際は、役員会において、その必要性や効果、具体的なポイントなどをレクチャーいたします。
メンター制度の導入は一般的に次のようなステップで行います。
クオリアでは、「メンターとメンティの組み合わせをどうするか」という実務的な相談や、「メンティが依存的になってしまう」「メンターが誘導しすぎる」などのメンタリングを行う過程で起きるお困りごとにも、豊富な経験を基にお答えして、メンタリングの定着を支援します。
メンタリングについてのご相談・お見積もりはお気軽にお問い合わせください。
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